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横浜地方裁判所 昭和50年(わ)458号 判決 1975年10月01日

主文

被告人上村満弘を懲役一年六月に、

同宮下賢造、同近藤三郎をそれぞれ懲役六月に各処する。

この裁判の確定した日から、被告人上村満弘に対し三年間、同宮下賢造、同近藤三郎に対しいずれも二年間それぞれその刑の執行を猶予する。

被告人上村満弘から、押収してある猥せつカラー写真雑誌三冊(昭和五〇年押第二五三号の二、四及び五)、猥せつカラー写真雑誌の写真原板三十二枚(同号の八ないし一〇)、横浜地方検察庁保管にかかる猥せつカラー写真雑誌千四百五十五冊(同庁昭和五〇年領第九五八号符号一ないし四)、同庁保管にかかる猥せつカラー写真本一万七千八百七十九冊(同庁昭和四九年領第三九一〇号符号一一)を没収する。

訴訟費用中、証人新名澄雄に支給した分はその三分の一ずつを各被告人の、証人宮下利男、同宮下久子に支給した分はその二分の一ずつを被告人上村満弘、同宮下賢造の各負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

第一  被告人上村満弘は、販売の目的で、

一  昭和四十九年二月四日、東京都新宿区西新宿六丁目十六番十一号三井ビル五階五〇三号室所在株式会社J・P・C事務所において、男女性交の場面や性器等を露骨に撮影したカラー写真多数を掲載した「プライベート(第十二号)」(PRIVATENo.12)と題する猥せつのカラー写真雑誌一万七千八百八十冊(昭和五〇年押第二五三号の四及び横浜地方検察庁保管にかかる同庁昭和四九年領第三九一〇号符号一一)を所持し

二  同月二十七日、右同所において、前同様の「プライベート(第十二号)」と題する猥せつのカラー写真雑誌二千三百三十七冊(昭和五〇年押第二五三号の五及び横浜地方検察庁保管にかかる同庁同号符号一五)を所持し

第二  被告人上村満弘は、

一  同年十一月中旬頃、右同都同区歌舞伎町十一番二〇号所在の大人のおもちや店「ハツピー・ポルノ」において、同店の経営者朴三俊に対し、前同様の「プライベート(第十二号)」と題する猥せつのカラー写真雑誌三千冊(昭和五〇年押第二五三号の三はそのうちの一冊)を代金百五十万円(一冊あたり金五百円)で販売し

二  被告人宮下賢造と共謀の上、

(一) 同月二十九日、埼玉県新座市大字片山三千五百六十五番地先の関越自動車道新座料金所付近路上において、須佐弘幸に対し、前同様の「プライベート(第十二号)」と題する猥せつのカラー写真雑誌六百四十冊(昭和五〇年押第二五三号の一はそのうちの一冊)を代金五十一万二千円(一冊あたり金八百円)で販売し

(二) 同月下旬頃、東京都杉並区西荻南二丁目二番四号所在の被告人宮下賢造方において、販売の目的で前同様の「プライベート(第十二号)」と題する猥せつのカラー写真雑誌千四百五十七冊(同号の二及び横浜地方検察庁保管にかかる同庁昭和五〇年領第九五八号符号一ないし四はその一部)を所持し

三  被告人近藤三郎と共謀の上、同月初旬頃、同都目黒区緑ケ丘三丁目十一番十一号メゾングリーンヒル所在被告人近藤三郎方において、販売の目的で、前同様の「プライベート(第十二号)」と題する猥せつのカラー写真雑誌の写真原板三十二枚(昭和五〇年押第二五三号の八ないし十)を所持し

たものである。

(証拠の標目)(省略)

(法令の適用)

被告人上村満弘の判示第一の各所為は包括して刑法第百七十五条後段に、判示第二の各行為は包括して同条(判示第二の二及び三の各所為については、さらに同法第六十条)に、被告人宮下賢造の判示第二の二の各所為は包括して同法第百七十五条・第六十条に、被告人近藤三郎の判示第二の三の所為は同法第百七十五条後段・第六十条にそれぞれ該当するので、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、被告人上村満弘の判示第一と第二の各罪は同法第四十五条前段の併合罪なので、同法第四十七条本文・第十条により、犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役一年六月に、被告人宮下賢造、同近藤三郎をそれぞれその所定刑期の範囲内でいずれも懲役六月に各処し、情状により同法第二十五条第一項を適用して、この裁判の確定した日から、被告人上村満弘に対しては三年間、その余の各被告人に対してはいずれも二年間それぞれその刑の執行を猶予することとし、押収してある猥せつカラー写真雑誌二冊(昭和五〇年押第二五三号の四、五)及び横浜地方検察庁保管にかかる猥せつカラー写真雑誌一万七千八百七十九冊(同庁昭和四九年領第三九一〇号符号一一)は判示第一の、押収してある猥せつカラー写真雑誌一冊(昭和五〇年押第二五三号の二)、猥せつカラー写真雑誌の写真原板三十二枚(同号の八ないし一〇)、横浜地方検察庁保管にかかる猥せつカラー写真雑誌千四百五十五冊(同庁昭和五〇年領第九五八号符号一ないし四)は判示第二の各犯罪行為を組成した物で犯人以外の者に属しないから、同法第十九条第一項第一号第二項によりこれらを被告人上村満弘から没収することとし、訴訟費用については、刑事訴訟法第百八十一条第一項本文により、証人新名澄雄に支給した分はその三分の一ずつを各被告人の、証人宮下利男、同宮下久子に支給した分はその二分の一ずつを被告人上村満弘、同宮下賢造の各負担とする。

以上の理由により、主文のとおり判決する。

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